木材を使用した最新耐震事例

みなさんこんにちは!先日石川県で震度6弱の地震があったりと、地震が多発していますね。日本は地震大国であり、世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の 約 2 割が、日本周辺で発生しています。よって耐震設計や構造は建設において非常に重要な要素となるのです。地震が多いからこそ耐震技術の研究が進んでいる国でもあります。今回は建設における地震に耐える仕組みから一見耐震とは相反したように見える木材を使用した最新耐震事例を紹介します!!
 
 

目次

建物が地震に耐える構造とは?
耐震における木材を使用した最新の事例紹介
最後に
 

建物が地震に耐える構造とは?

地震に耐える構造は主に3つあります。
1つ目は耐震構造です。これはそもそも建物自体が地震に耐えうる強度で造られているもののことを指します。現在では、日本の住宅はほとんどがこの構造設計になっています。
2つ目は制振構造です。制振とは、建物内にダンパーなどの制振材料を設置し地震が起きた時の揺れを建物で吸収するものです。これは比較的新しい構造形式に分類されます。
最後に免震構造です。建物と地盤の間にゴムを設置し、建物の足元で地震の揺れを吸収します。そのため建物自体の揺れが少なくなり、家具の転倒などによる室内での被害を最小限に抑えることができることがメリットとなります。
 
このように地震に耐える構造には3つの種類があり、耐震基準をクリアしているかどうかがその建物の安全性となります。
 

耐震における木材を使用した最新の事例紹介

一見木材と聞くと耐震や火災の観点から不安な要素がありそうに思いますが、実は耐震材料としての研究開発が進んでいます。
 
CLT建材の登場
CLT建材はご存じでしょうか?近年脱炭素の観点から木材を使用した建物が増加しています。しかし木材は燃えやすく耐震性にも考慮しないといけません。そこで注目されているのがCLT建材というものです。
CLT建材は細長い木の板を並べた層を繊維が直交するように互い違いに何層も重ねて圧着したものです。このように配向することによって縦横どちらからの力にも耐え、コンクリート並みの強度で建物を支えることができます。よって耐震性が材料レベルで担保されているのです。
また、これを3層構造にすることによって火災が起きても表面だけが燃えて中まで火が通らないようになっています。
国産の木材を使用し、建材の自給自足率を高めることから期待されている建材です。
 
木質の耐震ブレース
耐震ブレースとは、建物の内側もしくは外側から柱に骨組みを追加する耐震工事のことです。現在の主流の鋼製耐震ブレースでは、非常に大きな地震が起きた際に座屈現象(建築などの部材に圧力が加えられたときに、限度を超えると急激に変形が増大する現象)が起きたときに大きく変形してしまうという課題があります。
そこで開発されたのが木質座屈拘束ブレースです。
LVLという木材の乾燥による収縮・反り・割れ等の変化が起きない建材と合板を合わせて座屈拘束材、つまり座屈が起きないようにする材料を作り、鋼製の芯材を補強することでより高い耐震性を持ったブレースが開発されました。
木材を使用する観点から脱炭素の観点からも注目されてます。
 
最後に
いかがだったでしょうか?先日のウッドショックの記事でも紹介しましたが、木材の輸入価格は高騰しています。また脱炭素の観点からも木材の使用が期待されていることから国内木材を使用した建設や建築における活用例が今後増えていくかもしれませんね。