Society 5.0で変わる建築分野
建築分野においても次々と新しいICTツールが登場し、データ活用によって生産性の向上が可能になっていることを実感している方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、昨今の状況の背景にあるSociety 5.0という構想について解説していきます。

目次
- Society 5.0とは
- Society 5.0に基づいた建築分野の変革
1. Society 5.0とは
Society 5.0は、日本が目指すべき未来社会の姿として、内閣府が閣議決定した第5期科学技術基本計画において提唱された構想です。この計画の中でSociety 5.0は「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」であると定義づけられています。

この5.0という数字は、人類社会的な発展のステージに基づいて定められており、1.0から4.0までの数字はそれぞれ狩猟社会(Soceity 1.0)、農耕社会(Soceity 2.0)、工業社会(Soceity 3.0)、情報社会(Soceity 4.0)を表しています。
2. Society 5.0に基づいた建築分野の変革
近年、建築分野においてDX (デジタル・トランスフォーメーション)やIoT (Internet of Things)が話題に上がることが多くなりました。実はこれらの革新が盛んになったきっかけは、Society 5.0構想が提唱されたことにありました。特に、建築に関わるあらゆるプロセスでICTによる生産性向上を図るi-Constructionという取り組みは、Society 5.0構想と強く関係しています。

従来の手法では、測量や設計で取得されたデータはクラウド上に保管され、データが必要な場面での分析やそれに基づいた提案などは、最終的には人間が自ら行う必要がありました。現在普及しているこのシステムは情報社会(Society 4.0)に分類されます。
一方、目指すべき未来の姿であるSociety 5.0における建築手法、すなわちi-Constructionでは、これらのデータをサイバー空間にただ保管しておくだけではなく、AIによる自動解析や、それに続く提案、自動操縦など、新たな価値が自動的に生み出されるシステムが目指されています。

このように建設プロセス全体を多角的なデータによって繋ぐことで、必要な工事日数のや一人当たりの仕事量を削減でき、結果的に生産性向上・従業員のワークライフバランス確保に繋がることが期待されています。
最後に
ICT活用が建築分野で注目されている背景となっているSociety 5.0構想について紹介しました。今後、建築分野だけではなく多様な分野でダイナミックなデータ活用手法が開発されることによって、人々のより豊かな生活が実現されていくことが目指されています。
参考