木造建築は「危険」なのか?ー木材への誤解ー

家を建てる時に考えられる構造は、鉄骨や鉄筋コンクリート、そして木材があります。
 
木造住宅は今や積極的に選ばれる構造ではありません。
たしかに鉄骨や鉄筋コンクリートと比べると、あらゆる面で「弱そう」という印象を持たれます。 一般住宅に対する木材利用の推進が法律で求められる現在、木材に対するマイナスイメージを払拭していかなければなりません。
 
建設業に関わる人に知ってもらいたい、建材としての「木」利用のメリット/デメリットをご紹介します!

目次

日本産の木材利用、推進中
木材利用ー木造住宅への誤解ー
おわりに
 

日本産の木材利用、推進中

国土の多くが森林で埋め尽くされている日本。本来であれば、家を建てる時に国産の木材を使う方が安価に済みそうな物ですが、残念ながら、現状はそうではありません。
 
安価で丈夫だと言われる鉄骨や鉄筋が主流で、ほとんどを輸入に頼っている木材はあまり使われていません。
そこで、2021年政府は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正し、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)に変更。
国内におけるさらなる国産木材の利用を、環境問題への取り組みという観点も取り入れながら推進しています。
 
詳細はこちらの記事から!
 
 

木材利用ー木造住宅への誤解ー

いくら国が木材利用を推進して、木造住宅を作らせようとしても、「木」で家をつくるなんて危ない、と思う方も多いかもしれません。
なぜ木造が「危ない」と感じるのか。
それには以下の①燃えやすい②地震に弱い③虫に食われる、など理由が挙げられるでしょう。
今回はこれらマイナスイメージに含まれる誤解や、対応策について紹介します!

①燃えやすい

木造住宅に使われている太い木材は火災が起きても表面が燃えるだけで、内部まで火が通って倒壊するまでにはかなりの時間がかかります。15分程度燃やしても表面の1~2cmが炭化するのみです。
その耐火性は鉄骨よりもはるかに高いといわれています。
表面が炭化することで火災の熱が木材の内側に伝わりにくくなるため、木材はそれ以上燃えなくなります。20分焼かれ続けてようやく強度が半分まで落ちるくらいのレベルです(https://kurasuke.com/wooden-houses-are-more-resistant-to-fire-than-steel-frames-features-by-structure/)。
 
これに対し、鉄骨は温度が250度になると変形し始め、800度になると強度を失って曲がってしまいます。鉄は熱伝導率が高いため、ひとたび火災が起きれば温度は急激に上がり、変質するのです。鉄骨の家は耐火性が高いイメージがありますが、家を支える鉄の太い柱が曲がると、強度がなくなり倒壊するリスクが高いといえます。
 
そのため、じつは木造住宅の方が生存率は高いと言われています。
(https://vivahouse.co.jp/useful/567/)
 

②地震に弱い

木には本来のしなやかさがあり、地震の揺れを逃がしやすいという特性があるのです。また、揺れの大きさと住宅の重量は比例します。木造住宅は鉄より軽い木を用いているため、建物の大きさが同じであれば、当然ながら鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅より軽量です。つまり、木造住宅は揺れ自体が小さくて済むので、決して地震に弱いということはありません。
 
なお、これらは適切に構造計算を行ないながらの設計と最適な工法が選択されていれば適応される事例です(https://www.mitsubishi-home.com/column/column040/)。
 
古くから残されている木造住宅は適切な設計・工法・保守がされていないことが多いので、建築物の耐震改修の促進に関する法律等に基づいて基準が満たされているのか、調査してください(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000054.html)。
 
 

③虫に食われる

シロアリやキクイムシなどが木材を食べてしまい、家の耐久度が低下する、というのもよく聞く話です。
シロアリへの対策には、防蟻処理が必須です。防蟻処理は「建築基準法」にも定められているため、新築の場合はほとんどの家で行われている処理になります。
しかし、防蟻処理で使用する薬剤の効果は5年で切れると言われているので、必ず5年に1度、業者さんにおねがいする必要があります。
キクイムシなど、他の虫に関しても防虫効果のある薬剤を専門業者に依頼して散布してもらうのがよいでしょう。
 
 
ここまで挙げたデメリットの他にも、水に弱いなど懸念される点はありますが、近年住友林業が独自開発したシリコン系超撥水(はっすい)形塗料「S-100」を塗布することで、メンテナンスコストを下げながら、その耐久性を伸ばすことができると考えられています。
(https://genchoplus.com/ada55f8f7a5d49509432da20b0fd7617『3. 外装クロスの耐久度を上げる塗料を使用した「上智大学新校舎」』より)
 
 

おわりに

木材利用に関する誤解は本記事で溶けたかと思います。
しかし、木造住宅はきちんとメンテナンスをしないと腐食や色落ち、虫食いなどが発生することは事実です。
木造住宅を作られるお客様がいるときには、きちんとメンテナンスコストと長期的な利用可能性を考えてご提案してみてはいかがでしょうか?