窓ガラスまでIoT化?!

会議室などでの使用が一般的になりつつある「電気調光ガラス」。名前を聞いただけではピンと来なくても、実は一度は見たことがあるという方が多い技術の一つです。今回は従来の電気調光ガラスについて解説しつつ、IoTとの連携でさらに進化を遂げた技術について紹介します。
 

目次

電気調光ガラスとは
スマート窓 ~IoTとの連携
最後に
 

電気調光ガラスとは

電気調光ガラスを一言で説明すると、「すりガラス」⇄「通常のガラス」を、電気信号によって切り替えることができるガラスです。会議室などで使用されているのを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
 
この特徴は、2枚のガラスに挟まれたフィルム内部の液晶分子によって実現されています。非通電時(電源off)には液晶分子の配向がバラバラな状態なために、ガラスを通過する光は散乱・屈折を受け、その結果、ガラスの透過度が低下してすりガラス状態になります。一方、通電時(電源on)には電気により液晶分子の配向が揃うため、光が受ける散乱・屈折の影響が低下し、その結果ガラスの透過性が上がって通常のガラス状態になります。
電気調光ガラスのメリットとして、 ①柔軟なプライバシー保護が可能になる ②、過率調整による遮熱で空調の負荷を軽減できる(省エネルギー) ③カーテン・ブラインド不要なため美しい外観を保てる といった点があり、電気調光ガラスは既に私たちの生活に一般的な技術になっていると言えるでしょう。
 

スマート窓 ~IoTとの連携

このように既に一般的となった電気調光ガラスですが、近年さらに進化を遂げているのをご存知でしょうか。米国シリコンバレーのView社が開発した”View Smart Windows”では、IoT技術との連携で、従来の電気調光ガラスには無かった革新的な機能を実現しました。
例えば、各ガラス窓に付属させたチップで位置情報を管理し、その地域の天気や気温に合わせて自動的に調光を行うことが可能になりました。また、もしガラス窓が破壊された場合でも、被害のあった場所の特定が迅速に行えることから、防犯面での機能も向上しています。
さらに、スマートフォンなどのデバイスと連携させることで、光の色や強さ、タイミングなどを遠隔で操作することも可能になっています。
このような利便性から、”View Smart Windows”は世界中から注目を集めており、米国Meta(旧称:Facebook)本社ビルでも採用されているようです。日本国内でも、住友商事の物流施設「SOSiLA」において導入されるなど、その勢いはとどまることを知りません。
 

最後に

美しさ・省エネ・利便性を同時に叶える電気調光ガラス。今後の開発の進歩に伴い、より安価が生産が可能になれば、私たちの生活により身近な建物に使用されることも増えてくるかもしれません。スマートフォンで調光操作できるようになる日が楽しみですね。
 
参考