建設資材としてのメタマテリアル

みなさん、メタマテリアルはご存じでしょうか?
メタマテリアルとは、自然界に存在しない人工的に作られた物質のことです。
得意な力学的特性(硬さや柔らかさ)や軽量化などが可能であり、新しい建設資材として注目されています。
今回はメタマテリアルの建設資材としての可能性をご紹介します。
 
 

目次

建設資材としてのメタマテリアル
海外での実例
日本での活用
 

建設資材としてのメタマテリアル

まず初めに建設資材としてメタマテリアルがどのような活用例があるのか広くみていきます。
既存の材料を使用して新たな構造を造形することで新規物性を生み出すことができるのがメタマテリアル技術です。
建設資材として多くはセメント材料系でのメタマテリアル活用があります。
例えば、通常のセメント材料からAIや数値計算などを使用してより強靭で軽量な材料となるような構造を設計します。
自然界にはないような構造物の形状でありながらも、新しい物性値をもつ材料として期待されます。
なお、この構造物の造形では3Dプリンタなどが使用されることが近年では増加しています。これにより量産も可能になるというわけです。
 
しかしながらメタマテリアル材料の生成には複雑なプロセスがあります。
一般にはCADを利用した構造物の設計が主流ですが、
構造の内部設計
構造の評価シミュレーション
設計した構造の製造
製造した構造の評価実証
などがあり、特に設計と評価シミュレーションでは多くのパラメーターが関与しており、力学的特性と設計製造プロセスの両立なども困難さとしてあります。よって、AI技術や数値計算技術の活用が求められるのです。
 

海外での実例

海外ではどのような実例があるのでしょうか?
Advance メタマテリアルとしてAcoustic metamaterial (音響メタマテリアル)があります。
音響メタマテリアルとは、波を遮断、吸収、増強、または曲げるなど、波を操作することができる特性を持っています。
より軽い音響資材として建設業界への普及が期待されています。
 
 

日本での活用

日本でも近年セメント系のメタマテリアル資材の活用があります。
クラボウは、建設用3Dプリンターに関する技術情報を提供する他、3Dプリンターによる造形物を試作し、構造の設計から材料配合、成形までの工程における精度と課題をフィードバックする。一方の東京大学は、メタマテリアル技術の数値解析と解析データの提供を担当する。両者の計画では、2022年には材料・部材実験とメタマテリアル技術の数値解析を進め、2023年以降にメタマテリアル技術の実証実験へ段階を進める。
 
メタマテリアル活用が3Dプリントで造形され、大学側で数値計算や非線形構造解析などをサポートする例です。
少ない材料で強靭な材料が生産できればコストも低減しますし、環境にも配慮できる材料となります。
 
メタマテリアル生成には複雑なパラメーターの依存関係や、数値解析の複雑さがあります。しかし、より強靭で軽量かつ得意な物性を持つ材料が量産され実用化されれば環境や値上がりする資材への影響を回避できるかも知れませんね。