日本の夏の味方!調湿材について
梅雨が終わっても、日本の夏とは切っても切り離せない湿気。私たちが知らないうちに室内の湿気を軽減してくれているかもしれない、調湿材をご存じでしょうか?今回の記事では、快適な住空間の維持に役立つ調湿材の特徴とその具体例を紹介します。

目次
- 吸湿・放湿のしくみ
- 代表的な調湿材
- ユニークな調湿材
1. 吸湿・放湿のしくみ
調湿材とはその名の通り、湿度を調節するために使用される建材です。建材周囲の湿度に応じで湿気を吸収または放出することができます。
例えば、建材に対して室内の湿度が相対的に高い場合、建材が空間中に漂う水分子を吸着することで、室内の湿度を低下させます(吸湿)。逆に室内の湿度が相対的に低い場合は、建材が水分子を空間中に放出することで湿度を向上させます(放湿)。


調湿建材の多くは、表面にたくさんの小さな空隙(細孔)を持っており、この小さな孔で水分子を出し入れすることで調湿機能を果たしています。
2. 代表的な調湿材
調湿建材として一般的に用いられる材質には何があるのでしょうか。
ゼオライト
ゼオライトは、特に床下の調湿建材として多く用いられている材質です。水分子よりも少し大きな管状細孔と空洞を規則的に有していることから、調湿機能を持ちます。通常、天然資源として採掘されますが、類似物質を人工的に合成することも可能であり、より高い調湿機能を追加した材質も開発されています。

珪藻土
また、珪藻土も一般的な吸湿材のひとつです。最近では、バスマットやカップコースターなどで使用されているのを見ることも多くなりました。
先ほどのゼオライトが鉱物由来だったのに対し、珪藻土は藻の一種です。珪藻土は、植物プランクトンの殻が海や湖の底にたまり、化石として堆積したものです。珪藻土も細孔を多く有することから調湿機能を持ちます。
3. ユニークな調湿材
一般的に用いられるゼオライトや珪藻土だけではなく、少し変わった調湿材も登場しています。
日本エムテクス社は、なんと卵の殻から作られた調湿材「エッグウォール」「エッグタイル」を開発・販売しています。

卵の殻にも多くの細孔が存在しています。本来この細孔は、卵の中のひよこの呼吸のために酸素を取り入れ、発生した二酸化炭素を放出する役割を果たしています。この卵の殻を建材として生まれ変わらせることで、細孔による水分子の吸着・放出による調湿を可能にしています。
最後に
壁や天井に採用すれば自動的に調湿を行ってくれる、湿気に悩まされる日本の夏には心強い調湿材。エアコン使用量も軽減できるなど環境にも良い影響が大きいことから、今後より注目が高まりそうですね。
参考