熱中症から身を守ろう!~建設現場における発生と対策~

少しずつ気温が上がり、夏の訪れを感じられる日も多くなってきました。
 
実は、身体が暑さに慣れていない時期にこそ怖いのが熱中症。今回の記事では、施工現場における熱中症の発生状況や対策について解説します。
 
本格的な暑さを迎える前に、熱中症対策を見直しておきましょう。
 
 

目次

 
  1. 建設業は熱中症発生数が最多
  1. 「暑さ指数」で予測する熱中症危険度
  1. 「暑さ指数」に基づいた現場での熱中症対策
 

1. 建設業は熱中症発生数が最多

 
建設業は熱中症による死傷者数が最も多い業種です。
 
2022年5月に発表された厚生労働省の資料によると、2017~2021年の5年間で、熱中症による死傷者数は建設業において合計878人で、全業種の中で最も大きな値となっています。
 
また、同じ期間において、死傷者に占める死亡者の割合は、建設業では5.2%となっています。これは全業種平均の2.7%に比べて大きな値です。
 
以上のデータから分かるように、建設業では他の業種に比べて熱中症の発生件数が多いだけでなく、熱中症の程度も深刻になる傾向があると言えます。
 
建設業において他業種よりも熱中症が起こりやすい要因として、身体を動かす作業が多いことや、屋外での長時間作業、ヘルメットや長袖の着用などによって、体温上昇が生じやすいことが考えられます。
 

2. 「暑さ指数」で予測する熱中症危険度

 
それでは、施工現場において熱中症を効果的に予防するためにはどのような方法があるのでしょうか。
 
厚生労働省は、熱中症の危険度の判断のために暑さ指数(WBGT値)の利用を推奨しています。
 
暑さ指数(WBGT値)とは、「気温」「湿度」「輻射熱」の3つを取り入れた総合的な温度の指標のことです。「気温」のみの場合に比べ、人間の熱バランスへの影響がより反映されていることから、熱中症の危険度を予測するのに適しているとされています。
 

3. 「暑さ指数」に基づいた現場での熱中症対策

 
暑さ指数(WBGT値)の基準値にはそれぞれに適切な身体作業強度が設定されています。そのため、現場の暑さ指数に基づいて作業内容の変更・中止の判断を行うことができます。
 
 
例えば暑さ指数28は、「中程度代謝率」の作業を行える基準値とされています。したがって、現場の暑さ指数が28を超える場合、
 
  • 冷房などにより、作業場所の暑さ指数を28よりも下げる
  • 身体作業強度の低い、「低代謝率」の作業に変更する
 
などの対策が求められます。
 
各作業員の自己判断だけではなく、暑さ指数に基づいて客観的に作業環境を見直すことで、熱中症を効果的に予防できる可能性が高くなります。
 

最後に

 
すぐにやってくる夏本番。熱中症対策の基本である水分補給や休養を徹底的に行ったうえで、暑さ指数に基づいた作業環境の見直しも行い、施工現場における熱中症を予防していきましょう。
 
参考