太陽光発電に潜む問題とその対処

環境に対する配慮が求められる現代。火力発電から抜け出すため、自然の力を使った発電方法を主流とするため、さまざまな技術の活用が進んでいます。
特に太陽光発電は自宅の屋根に設置されたり、あるいは空き地活用として使われなくなった農地等に設置され、生活の中に根付きつつあります。
 
しかしながら、太陽光発電には問題が山積みです。
今回はこれまで提示されてきた太陽光発電の問題と、その解決策について考えます。
 

目次 太陽光発電の問題とは? パネルはなぜ発火するのか 太陽光パネルの不法投棄が引き起こす問題 おわりに

太陽光発電の問題とは?

日本で太陽光発電が注目されるようになったのは、1973年のオイルショックの時です。石油の価格が高騰したり、輸入できなくなった時に、どのように電力を確保するのかが大きな課題となったのです。
太陽光パネルの存在は認知されていたものの、当時は価格も高く、広く一般的に導入されるものではありませんでした。
太陽光発電が普及したのは、2011年の東日本大震災と原発事故が大きな要因です。この前後から国からの補助金も出るようになり、比較的安く省エネができるということで、人気が出ました。
しかし、太陽光パネルが使用されるようになってから、さまざまな問題が発覚しました。
今回は①発火②廃棄の2つについてご紹介します。
 

パネルはなぜ発火するのか

まずはパネル(及びその周辺)が発火する事故が発生し、屋根が焼損するなどの事例が増えました。
住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等に関する事故情報は、平成 20 年3月から平成 29 年 11 月までに、事故情報データバンクに127 件登録されています。そのうち、72 件が調査対象とされており、調査対象のうち、モジュール又はケーブルから発生した火災事故等が13 件とされています。
これらの原因は、モジュール(パネル部分やその周辺)や配線にあったということがわかっています。
 
モジュールの発火については、製造上の問題と経年劣化の2つの原因があると考えられています。
太陽光パネルでは常時通電することを想定していない部分に、常に電気が走っている状態でも、異常を知らせるアラートは出ないことがほとんどであることから、継続した異常があっても所有者は発火するまでそれを知ることはできません。
 
また、配線に関しては、ケーブルの挟み込み等による不具合と、経年劣化であることがわかっています。
これらの問題は保守点検を必ず実施していれば避けられたかもしれません。必ず定期点検は実施するようにしましょう。
 
さらに、住宅用太陽光パネルの置き方は、以下の4つに分類され、(4)鋼板等なし型を使用していると、発火した際に延焼してしまう可能性があることから、必ず太陽光パネルの置き方は確認しておきましょう。
(1)屋根置き型
住宅の屋根材(瓦、スレート、金属屋根等)の上に架台を取り付け、モジュールを設置するタイプ。 (2)鋼板等敷設型
屋根材にモジュールが組み込まれているものや、屋根全面にモジュールが設置されているもので、 モジュール直下のルーフィング表面に、鋼板等の不燃材料を敷設するタイプ。
(3)鋼板等付帯型
裏面に鋼板等の不燃材料を付帯したモジュールをルーフィング上に直接設置するタイプ。
(4)鋼板等なし型
裏面に鋼板がないモジュールをルーフィング上に直接設置するタイプ。バックシートの樹脂に金属
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_012/
 

太陽光パネルの不法投棄が引き起こす問題

環境配慮のために作られた太陽光発電ですが、実は太陽光パネルや、その発電のために発生する外部要因によって引き起こされる環境問題があります。
太陽光発電に使用されるパネルには、鉛やセレンが使用されています。どちらも日常生活にはありふれた物質です。
しかし、どちらも過剰摂取は人体に大きな影響をもたらします(*)。
 
これまで耐用年数を超えた太陽光パネルや、維持管理が行われず放置されてきたパネルが少なからず存在します。これらを放置しておくと、有害物質の環境への流出によって人体に影響を及ぼすことが考えられます。
そのため、維持管理及び正しいプロセスによる廃棄は必須です。
しかし、有害物質が含まれる廃棄の処理は手間と費用がかかり、廃棄処理をしっかりとした業者に任せない人が出ました。
 
太陽光パネルによる発電を「投資」として始めた人にとってはかなりの経済的負担にはなりますが、環境や人を守るために必要なことです。廃棄は必ず優良な業者さんに依頼して、正しい方法で廃棄してもらいましょう。
*鉛やセレンによる人体への影響
鉛は食品や大気に含まれることから、毎日摂取されるものです。
ですが、消化管から大量に摂取すると大量に体に蓄積され、中毒症状が起こります。具体的には、食欲不振、貧血、尿量減少、筋肉の虚弱などがあると言われています。
セレンは酸素やタンパク質の一部を構成し、抗酸化に重要な役割を担っているため、必ず摂取しなければならない物質です。
しかしながら、古くから毒性の強い元素として知られており、過剰に摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、疲労感、焦燥感、末梢神経障害、皮膚症状などが起こります。また、グラム単位で摂取すると、重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性の呼吸困難、腎不全などを引き起こす事から、その扱いには注意しなければなりません。
 

おわりに

太陽光発電の活用は、二酸化炭素排出量を減少させるためにも必要です。
一方で、太陽光パネルはしっかりと維持管理を行い、廃棄も専門の業者さんに任せる必要があります。
正しく運用して、環境にも人にも優しい発電を目指しましょう!