BIM/CIM活用工事のガイドラインと事例

BIM/CIMという言葉をご存じですか?(Building / Construction Information Modeling・Management)の略であり、計画・調査・設計段階ら3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理の各段階においても、情報を充実させながらこれを活用することです。
ここでいう3次元モデルとは、2次元の図面ではなく空間情報を持った3次元上に情報を反映させることです。イメージとしては、地形の点群データから3次元に地形データを構成するような例です。ここに設計上で欠かせない情報、例えば部品の種類などを新たに付与していくことで受注者と発注者の情報管理や生産性の向上が見込めます。
 
DXやICT活用と同じような文脈で使われ、土木建築のインフラ分野に特化した言葉になります。
国土交通省は2014年にガイドラインを公開しています。
今回はBIM/CIMガイドラインの概要からBIM/CIM活用工事の事例を紹介します。
 

目次

土木建築のインフラ分野における背景課題
BIM/CIMガイドラインより令和5年度までの目標
BIM/CIM活用工事の事例
 

土木建築のインフラ分野における背景課題

公共工事や直轄工事により河川や国の道路など私たちの生活インフラに関わるような工事が日々行われています。しかしながら土木建築業界では、人手不足や工事日数の労働時間問題など種々の課題があります。とりわけ生産性の向上が課題としてあげられており、国土交通省はBIM/CIM活用によって、人手不足解消及び労働時間短縮によって生産性向上を図る狙いがあります。
 
とりわけ公共工事では自治体や事業所などとの連携が必要であるため、政府がガイドラインをもとにから主導的に活用工事を推し進めています。
出典:第3回BIM/CIM推進員会資料
 

BIM/CIMガイドラインより令和5年度までの目標

国土交通省は、令和5年度までの小規模を除く全ての公共工事におけるBIM/CIM原則適用を発表しました。これは本来計画されていたものより2年前倒しとなり、国土交通省が土木建築における生産性向上への期待が見られます。
 
出典:令和5年度のBIM/CIM原則適⽤に向けた進め⽅ 国土交通省
 
小規模を除いた全ての公共工事において3次元データを用いたBIM/CIMの原則適用が求められます。来年度にはBIM/CIMの活用が原則必須となるのです。
 

BIM/CIM活用工事の事例

では、実際の活用事例をご紹介します。
 
設計照査に係る作業時間の削減
照査とは主に発注者が設計ミスがないかチェックすることを指します。
この例では橋梁工事におけるで過密配筋部をCIMモデルで把握することで配筋状況を共有可能。また、設計照査においては作業時間が短縮する結果となりました。
 
出典:BIM/CIM事例集ver1 国土交通省
 
施工計画や周辺環境を可視化することで、施工調整にかかる作業日数を削減
CIM モデルの活用による可視化により、施工調整の日数が通常の 2 次元図面と比べて 20 日程度 短縮。またCIMモデルの活用により、架空線及び立木と架設機材の隔離の事前確認が可能。 また図面と現場との不整合箇所を確認し、施工調整(打合せ等)を実施されました。
課題としては3次元モデル作成の費用コストが挙げられています。
 
出典:BIM/CIM事例集ver1 国土交通省
 
最後に
建設DXはよく耳にしますが、国土交通省が率先して建設業界の生産性向上に取り組んでいます。しかしBIM/CIM活用のためのソフトウエアや費用の不足が課題としてあげられており、発注者側によって使用するソフトウエアは異なり、ソフトウエア間のデータ連携も課題として挙げられています。
 
参考文献
BIM/CIM原則適用のガイドライン:国土交通省