【外国人材活用】建設業の技能実習生

世界で猛威を振るったコロナウイルスが少しずつ落ち着きを見せ、この数年制限がかかっていた他国との往来もできるようになってきました。
他国との往来ができる、ということは、日本で働く時を待っていた外国人もどんどん日本にやってきます。
 
 
 

外国人労働者と在留資格

日本で就職が決まっていたのにコロナ禍で諦めてしまったり、仕事がないままずっと待っていた人もいるそうです。
そんな彼(女)らが日本で働くときには「在留資格(=ビザ)」が必要です。在留資格のなかにも就労できるもの、できないもの、制限があるものがあります。
日本における数多くの外国籍労働者は、就労に制限のある技能実習生です。技能実習と他の就労ビザと何が違うのでしょうか?
 
「外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」(厚生労働省)
 
つまり、途上国に対しての技術移転を目的とした就労制度です。技術移転なので、最大でも5年間しか日本に滞在できず、日本に定住したい外国人を受け入れるという制度ではありません。しかし実態は、人手不足の職種に対して、自国より給与の高い日本で長期にわたって就労したい外国人とのマッチング制度とも言えるかもしれません。
 
実態はさておき、じつは建設業でも技能実習生を活用することが可能なのです。建設業で技能実習生が働ける職種は22種33作業あります。
すでに多くの企業で技能実習生の受け入れはされています。詳細な職種や作業は外国人技能実習機構のサイト (https://www.otit.go.jp/ikoutaishou/)で確認できるので参考にしてみてください。
 

技能実習生の受け入れ

技能実習生を受け入れる方法は2つ(団体監理型と企業単独型)あります。しかしおよそ97%の日本の企業は団体監理型ですので、団体監理型のみご紹介します。
 
団体監理型は
「営利を目的としない非営利の監理団体(事業協同組合、商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の実習実施者(受け入れ企業)で技能実習を実施します。監理団体は企業等に対して指導・監督・管理を行います。」(ORJ)
 
つまり、受け入れ企業は監理団体に参入しなければ受け入れ企業の候補にすらなりません。
監理団体は許可制、受け入れ企業は届け出制、実習計画は認定制を取っています。
また、優良な受け入れ企業や監理団体は、実習期間の延長や受け入れ人数枠および対象職種が拡大されるなどの優遇措置もあります。認定等の基準については法務省と厚生労働省が2018年に出した「新たな外国人技能実習制度について」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf)を参考にすると、詳しく分かります。
 

技能実習生受け入れの条件

企業が技能実習を受け入れるためには、以下の条件をそろえる必要があります。(なお、⑥~⑧は建設業に従事する技能実習生を受け入れる場合のみ適応される条件です)
参考:https://www.orj.co.jp/ginojisshu/ginojisshu_seido
https://global-saiyou.com/column/view/construction_technical_intern
参考:https://www.orj.co.jp/ginojisshu/ginojisshu_seido https://global-saiyou.com/column/view/construction_technical_intern
この条件を満たすことができなければ技能実習生を受け入れることはできません。
 
また、企業の実習生の受け入れ体制も整えなければなりません。
技能実習生は長期的に日本で働くために、1年目から試験を受け、合格する必要があります。この試験に落ちると、それ以降日本で就労することができません。異国で仕事をするストレスに加えて、試験に対するプレッシャーも相当なものでしょう。
だからこそ、受け入れ企業は技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員といった、技能実習生が受け入れ企業で問題なく働き、日本での生活が恙なく送れるのかといったところをしっかり監督し、補助できる体制を用意する必要があります。
 

技能実習生を受け入れるために一番大切なこと

ここまで制度上の決まりについて紹介してきました。
しかし、本当に重要なのは受け入れた後の対応です。技能実習生は夜逃げや逃亡が相次いでおり、大きな問題となりました。
技能実習生は自国に家族や友人を残してたった一人で日本にやってきます。
文化・言語・人、何もかも違う場所で新たな生活を始めるのです。その時、日本での生活を支えてくれるひとがいなければ、うまく立ち回ることができないまま、辛く苦しい仕事だけが残されるでしょう。
だからこそ、技能実習生を受け入れるときは、人として、互いを尊敬しあい、企業側は実習生を仕事をしてくれる大切な人材として、実習生側は企業の人びとを日本での生活の支えとなり、仕事を教えてくれる仲間として互いを認識し、平等な立場でいることが大切です。