総合評価落札方式における賃上げ加点とは

みなさん、総合評価落札方式の賃上げ加点はご存じでしょうか?
 
 
まずは総合評価落札方式とは、価格のみで落札者を決めるやり方とは異なり、「価格」と「価格以外の要素」を総合的に評価する方法です。
例えば、環境への配慮、ダイバーシティ雇用、子育てサポート企業としてのくるみん認定などが価格以外の要素として含まれます。
ここではその一つとして、新たに適用される賃上げによる加点を取り上げます。
2022年春、多くの建設企業で賃上げが発表された背景から総合評価落札方式の賃上げ加点を見ていきます。
 

目次

なぜ賃上げを考慮に入れるのか?
実際に適用される加点と対象企業
ペナルティについて
 

なぜ賃上げを考慮に入れるのか?

始まりは2021年12月17日に通知された、岸田政府が提唱する「新しい資本主義」に基づいて分配を重視する政策によって始まりました。他にも給与を底上げすることで人手不足の解消や労働生産性の向上があります。
 

実際に適用される加点は?

2022年4月1日以降に締結される政府調達の総合評価落札方式が対象です。
当初は「資本金1億円を超える法人税法上の「大企業」の場合、従業員1人当たりの賃金を3%以上増やすとの表明があれば、直轄工事などの総合評価の入札で加点する。資本金1億円以下の「中小企業等」の場合、従業員の給与総額を1.5%以上引き上げるとの表明があればよい。加点数は、総合評価の加算点などの5%以上に設定する」といったものでした。
 
しかし、中小企業からの給与総額1.5%以上という条件では安賃金で多くの労働者を雇用する可能性があるため、人材不足の根本的解決になりません。これに対して見直しが通達され、中小企業に対しても、大企業と同じように1人当たりの給与でみた賃上げを認めるように変更されました。
 
実際の加点は総合評価落札方式は事業ごとに様々な加点があるため、賃上げによる加点は、加点の合計点の5~10%に反映される見込みとなっています。
 
 

ペナルティについて

また、案件に対して給与の過去の賃上げの実績ではなく賃上げの予定を評価するするものとなっています。
賃上げ予定では不確実性が残り、新型コロナや突然の災害により給与が思うように出せないというトラブルもあり得そうです。
しかしながら、賃上げがされなかった場合にはペナルティが課せられます。
なんとその後1年間にわたって、総合評価の入札で賃上げ加点以上の点数を減点されます。
さらに国交省だけでなく、国の全ての発注案件が減点対象となることも大きなペナルティ要素です。

最後に

賃上げを適用し総合評価落札方式で加点を適用するには、確実に賃上げを保証する必要がありそのハードルはかなり高そうです。