建設業界とNFTとの関わり

急速な盛り上がりを見せているNFT(Non-Fungible Token), 非代替性トークンでデジタルアートなどに偽造不可な証明が付与されるとしてブロックチェーン上で取引が行われます。
建設領域ではNFTはどのように活用され、または活用されようとしているのか?
今回は実際の事例とともに建設業界とNFTの関係についてみていきます。
 
 
 

目次

NFTとは?
NFTと建設業界の事例
これから期待される活用
 

NFTとは?

NFTとはどのようなものか、簡単にまずはご紹介します。
NFTとはブロックチェーン上のデータ単位のことでその非代替性から簡単に複製できてしまう画像などのデジタルアートを代替可能がない唯一で一意なものにすることができるとされています。
NFTがついているからと言って付加価値になりうるかどうかはさておき、インターネットネイティブな社会において複製されたとしてもオリジナルの一意性は担保されそうですね。
 

NFTと建設業界の事例

まだまだ活用事例数は少ないですが、日本と海外の事例を一部掲載します。
 
中銀カプセルタワービルの設計情報にひもづく非代替性トークン(NFT)の発行を検討
解体中の中銀カプセルタワービルのオリジナル設計図とNFTを紐づけて販売マーケットプレイスに出品を検討しているようです。3次元での計測が容易になった今の時代だからこそ、設計図の作成は簡単なものになっており、だからこそオリジナルにNFTを付与することで価値を上昇させるのが狙いのようです。
 
NFTの所有権購入で建築家が設計の段階で図面の修正可能に
設計図面を400ドルで販売し、所有者が設計を修正する権利を与えます。NFTの所有権があることで建築家が設計の段階でオーナーとなり、独自の契約を結ぶことが可能になったとされています。
まだ事例としては数も少なく、歴史も長い建設企業も多いのでボトムネックとなっている課題を解決する活用が出てくると面白いですね。
 

これから期待される活用

NFTを使用した建設業界への可能性として一例を紹介します。
建築・エンジニアリング・建設に関する企業は日々管理するべき書類が膨大にあります。例えば入札から設計、建設まで、プロジェクトに関する書類は全て保管・管理されなければなりません。
そこでプロジェクトの各段階に置いてプロジェクトファイルへのアクセス権をNFTとして発行することでファイル検索などなしに下請け企業がスムーズにデータにアクセスできるというものです。
また、ブロックチェーン上に編集などの履歴を記録することでプロジェクトの透明性の担保がされるというものです。
 
確かに、下請け企業から容易に必要なファイルのみにアクセスでき、リスク管理までできると便利ですね。しかし、現状日本の建設企業は紙媒体でのやりとりが依然として多く、デジタル移行することがそもそもの課題となっているので遠い未来に実現されるのでしょうか。。?
またオラクル問題も課題として挙げられます。簡単に言うと、ブロックチェーンでオラクルというのは外部データをブロックチェーン内へ送り込むことです。ネットワークの外部から情報を入手できるようになります。現実世界ではブロックチェーン内の情報のみで取引を完結させるのは難しくここでオラクルが登場します。しかし議論となるのはそのオラクルから取得した情報の正当性です。第三者からデータを入手するため本当にその情報が正しいのかどうか、また改ざんできる可能性があるからです。このことから確実性を謳うブロックチェーンを使用したNFTにおいて議論の余地がありそうです。