省エネ基準適合義務化と断熱
いま日本は2025年の省エネ基準適合義務化に合わせて、省エネ関連の基準整備をすすめています。そのなかには、本記事で重要な概念である住宅性能表示制度の断熱等性能等級も含まれます。
今回は省エネと住宅の断熱性能についてご紹介します!
建築物省エネ法等の背景
断熱技術の向上促進
おわりに

建築物省エネ法等の背景
2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%(2013年度比)の実現に向けて、2021年10月、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等(以下、建築物省エネ法等)」が閣議決定されました。
そして2022年6月、建築物省エネ法等は省エネ性能の一層の向上を図る対策の抜本的な強化等に向けて改正されました。
特に省エネ対策については、以下の項目が挙げられています。
[1] 省エネ性能の底上げ・より高い省エネ性能への誘導
‐ 原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け
‐ 住宅トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充
‐ 建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進
[2] ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進
‐ 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度を創設
‐ 市町村が定める再エネ利用促進区域内について、建築士から建築主へ再エネ設備の導入効果等の説明義務を導入
‐ 省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化
断熱技術の向上促進
建築物省エネ法等では、断熱の促進のため等級を設置しています。
2022年5月、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH/ゼッチ)水準を満たす等級5が22年4月に施行されました。
しかし同年10月にはさらに上位の等級7と6が施行されます。
※ZEHの定義:「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設 備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー を実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一 次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/assets/pdf/general/housing/zeh_definition_kodate.pdf)
等級5でもすでにエネルギー消費量の収支がゼロという基準であるにもかかわらず、等級7とはどれほどのレベルなのか。
ずばり、「技術革新を促すための基準」です。
そのため、現時点で等級7レベルの断熱性能が求められているわけではなく、2050年に向けた新技術の生み出しと拡散のための目標値であると言えます。
実際に上位の等級レベルの断熱性を誇る住宅はすでに施工がされています。たとえば、愛媛県松山市では、すでに等級7レベルの断熱性を誇った住宅があります。ほかにも東京都、新潟県など、日本各地で断熱性向上の動きは高まっています。
ただし、一般的な家庭(等級4以上)と比較して約3倍ほどコストがかさんでいます。また、多くの住宅メーカーは等級7に対応しています。
広く普及するためにはまだ課題はあるようです。
※具体的な断熱水準に関しては以下の記事を参照。
※上位断熱基準を通過できるレベルの住宅について
事例: