資材価格の変動を紐解く
建設資材の原価価格の高騰が言われていますが、それはナゼでしょうか?一つにロシアによるウクライナ侵攻による原油価格の高騰や円安進行が挙げられます。果たしてそれだけでしょうか?
資材原価は年々増加しており、突発的なものではないのです。
今回は資材価格の変動について時系列を追って上記以外の理由を探っていきます。

資材価格の変動のなぜ
ではグラフを元に変動のなぜを紐解いていきます。
2008年リーマンショックが起き、世界的に経済不況が起きました。ここから建設需要が一気に冷え込みます。08年1月の株価はリーマン・ブラザーズが経営破綻した翌月の10月末には約30%下落しました。徐々に回復していき、11年1月末には、08年1月と同じ水準に戻ります。しかしその後も上がったり下がったりを繰り返したことによって、世界経済は2011年〜2013年あたりまで横ばいだったのです。
そこから経済状況が回復し、建設需要が増えていきます。ここで登場するのが中国です。特に中国では2010年以降に国内GDPが急激に増加しました。よって中国とアメリカの工場やコンテナなどの建設需要が増加したのです。また、資材の原材料を生産や分解するには電力が必要なので、電力の安い中国が資材の売り手になりました。しかしながら世界的な電力不足により、売り手の交渉力が高くなったというところでしょうか。
実際に鉄鋼建設材に注目してみると、
「中国の鉄鋼は,いまや世界粗鋼生産量の約半分を占めており,製品の主原料である鉄鉱石・原料
炭の価格は,中国メーカーの購入価格が世界的な指標となっている。加えて,鋼材の国際市場価格
に,中国市場での取引価格が大きな影響を与えている。」
とあります。
他の建設資材も中国が生産の大きなウエイトを占めており、そこに逼迫する電力不足による中国政府による電力供給制限も関係しています。
また日本は東日本大震災があったことから、建設資材の品質基準が厳しく他国は輸入が難しいと感じるといった声もあるようです。