建設業での木材活用ーウッド・チェンジー

住む家を選ぶとき、皆さんは木造住宅を選択しますか?
いま大量に消費されている化石資源や鉱物資源は環境負荷が高いうえ、将来的には枯渇します。
 
しかし、木材は環境負荷が低く、伐採しても植林すれば再生産も可能になる持続可能な資源です。
いま、環境保全や木材自給率向上を目指した木材活用の促進が進んでいます。
今回は日本の法律や木材利用の活動についてご紹介します。
 
 
目次
林業の衰退と法整備
2021年改正 木材利用促進に関する法律
合言葉は「ウッド・チェンジ」
おわりに

林業の衰退と法整備

日本の国土の3分の2は森林です。それにも関わらず、日本で使用されてきた木材の多くは海外から輸入される安い木材でした。そのため、日本の林業は長期にわたり衰退し続けてきました。
 
昨今、世界情勢の影響で海外の木材が高価になりましたが、構造的に日本の木材利用が急激に促進されるということにはなっていません。
安い海外産の木材に負けず、国産の木材を使用して衰退した林業を再生し、自給を可能にすることが喫緊の課題です。
 
そこで政府は、2010年度「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を制定し、公共建築物における木材の利用に取り組んできました。
 
これは木材の利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図り、森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与するため、公共建築物の建築に用いる木材を円滑に供給するための体制を整備等を目的としていました。(https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/pdf/sokusin1.pdf)。
 
 

2021年改正 木材利用促進に関する法律

公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から令和元年度には13.8%に上昇しています。
一方で、民間建築物については、木造率の高い低層の住宅以外にも木材の利用の動きが広がりつつあるものの、非住宅分野や中高層建築物の木造率は低位にとどまっています。
 
この結果から、2021年政府は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正しました。
法令名称は「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)に変更され、「2050年カーボンニュートラルの実現」への貢献という意味がふくめられました。
また、政府は10月8日を「木材利用促進の日」、10月を「木材利用促進月間」として法定化し、国等は普及啓発の取組をスタートさせました。
 
さらに、農林水産省の特別の機関として木材利用促進本部が設置されました。木材利用促進本部の下、政府一体となり、地方公共団体や関係団体等と連携し、建築物におけるさらなる木材利用の促進に取り組んでいます(https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/index.html)。
今回は2010年度時点で法の対象に含まれなかった建築物一般にも拡大しました。

合言葉は「ウッド・チェンジ」

法改正は行いましたが、政府は実際に木材利用を推進するために動かなければなりません。
ウッド・チェンジ を合言葉に、「木材利用促進月間」である10月を集中期間として 、木の良さや木材利用の意義への関 心と理解を促す様々な取組を、官民連携で展開するようです(https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen09_hh_000025.html)。
ウッド・チェンジ:身の回りのものを木に変える、木を暮らしに取り入れる、建築物を木造化・木質化するなど、木の利用を通 じて持続可能な社会へチェンジする行動
(1) 「木づかいシンポジウム 2022 」 (林野庁補助事業)
日時:2022年10月7日(金曜日)9時00分~18時00分
場所:室町三井 ホール
主催:(株)Spero 、(株) Give First 、(一社)全国木材組合連合会
後援:今後調整予定
 
(2) 木材利用優良施設等コンクール表彰式
日時:2022年10月31日(月曜日)
場所:木材会館
主催:木材利用推進中央協議会
共催:都道府県木材利用推進協議会
後援:文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省、
森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進協議会
 
(3) ウッドデザイン賞入賞の発表
日時:2022年10月6日(木曜日)
主催:(一社)日本ウッドデザイン協会
上位賞(農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞)の発表は11月9日、表彰式は
12月7日を予定
 
(4) ウッド・チェンジ協議会*メンバーによる中高層等の木造建築物等の見学会の実施
日時:木材利用促進月間(その前後の月も含む)
主催・場所等:調整中(情報は、下に記載のURL サイト上に掲載予定)
事務局:林野庁木材利用課

おわりに

日本は多くの自然に囲まれています。
特に森林が維持されるということで、資源の循環、地球 温暖化防止、国土保全といった公益的機能の発揮や林業・ 木材産業の振興による地域経済の活性化等に繋がること が期待されます。
今後、木造建築の良さが人びとに広まり、利用者数が増えることが最も重要です。
今年の10月は木材について学んでみるのはいかがでしょうか?